2020年5月22日金曜日

楽器図鑑・ティンヤ?

表立って活動していないついでにブログもしばらく更新していませんでしたので、またひとつ部員の私物をご紹介します。


恐らく、「ティンヤ」と思われます。動物の皮を使ったペルーの太鼓です。
思われるというのは調べてもよくわからなかったためですが……

まず上図の通り、割と大きいです。
右下に500円玉を置きましたが、直径は大体30cm。厚みも8cmほどあります。
今は皮がだるだるになっているため指で叩くと、ぼんぼん、という締まりのない低い音が鳴りますが、実際にはマレットを使って、中低音域で拍を取るように叩くものと思います。


厚みもあるということで横にしても自立します。
で、何か書かれているわけですが、


「平成4年 5/5(火,祭) 西?松レポートフェア'92 ペルーのアルパカ皮タイコ \6500」
(?部は認識不能だった文字)

残念ながら調べても情報は得られませんでした。
※今回この楽器はオークションで今年の3月に入手しています。

で、とりあえず「アルパカ皮太鼓」と呼ぶのもちょっと楽器の名称としてはまとまりがないので調べてみたわけですが。

ペルーのこういう太鼓といえば、南米の大衆音楽フォルクローレで用いられる「ボンボ」という両面太鼓がメジャーです。
画像検索してみると確かに似た楽器が出てきます。


ただ、多くの画像において胴が深いんですよね。ブラジルのスルドみたいに。

一応『打楽器事典(網代景介・岡田知之/音楽之友社 1994年版)』を紐解くと、
スペイン、ポルトガル、南アメリカの両面太鼓。音色は低くにぶい。地域により大小、また胴の深いもの、浅いものなどがある。胴は木製で、皮の締め方に特徴があり、皮わくに直接ひもを通さないで、皮わくの穴に輪をつけて、その輪にひもを通して皮の張力を調節するようになっている。
とあります。

「胴の深いもの浅いものがある」っていうのがめっちゃアバウトです。大小と深浅が違ったらもう演奏上の役割は異なるんじゃないか(それこそ上図検索結果のレベルで違ったらもう別物)。とはいえこれを都合よく信じるなら実物も「ボンボ」と呼んで差し支えないでしょう。

ただ、「皮わくに直接ひもを通さないで、皮わくの穴に輪をつけて、その輪にひもを通して皮の張力を調節する」という特徴には沿っていません。

この文章どういうことかというと、皮のヘリを経由して逆V字に張られた2本の紐に輪を通しておき、その輪を引き下げることで紐が締め付けられ皮の張力に影響する仕組みのことです。
ネパールの「マーダル」などにもみられる特徴です(下図 これも部員私物……)。


ということで例のブツはこの特徴を持たず(notボンボであり)、フォルクローレで用いられる、8cm程度の厚みの、動物の皮を用いた太鼓――となるわけです。

そこで探し回るうちにたどり着いたのが、英語版Wikipedia「Tinya」。
→ https://en.wikipedia.org/wiki/Tinya
a small handmade drum of leather which is used in the traditional music of the Andean region, particularly Peru.
(ペルーを中心にアンデス地方の伝統音楽に使用される、革製の小さな手作り太鼓)
う~ん、ティンヤ?

「ティンヤ」という楽器、前述の『打楽器事典』にも無かったのですが、調べてみると下記「サロン・ド・フォルクローレ」なるwebサイトにおいて、同じようなサイズで例の張力調整の仕組みを持たない太鼓が「ティンヤ」と紹介されてもいます。
→ https://ganagona.com/ryu3f/salon/gakki/perc.html

う~ん、ティンヤ?

何せ写真はあるものの、体系的に特徴を述べた文章が見当たらなかったため決定とは言いにくいのですが、そういうわけで……恐らく、ティンヤ……の紹介でした。
 

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